挿入しなくてもいい、セックス
~テクニック編~

「挿入されることに抵抗を感じる、怖い、避けたい、苦痛」といった声を聞きます。WASのセクシュアル・プレジャー宣言を大事にしているふあんふりーでは「誰かの我慢の上に成り立つ快楽は存在しない。あなたが抵抗を感じること、苦痛なことを無理してしなくて大丈夫」とお伝えしていますが、一方で「挿入はしなくてもパートナーと一緒に楽しめる方法を知りたい」という声も届くことがあります。そこでこの記事は、以前公開した「挿入しなくてもいい、セックス~グッズ活用編~」の続編と位置づけ、「挿入しなくてもいい、セックス~テクニック編~」と題してお届けします。セックスコラムニストのBETSY(べっつぃー)さんに、挿入しなくてもパートナーと一緒にセックスを楽しめるテクニックについて聞きました。

BETSYさんのプロフィール

コラムニスト。実体験を元にしたセックスやマスターベーションに関するコラムを執筆。ハウツーアダルト動画の監修や性生活に関する女性向け講座の共同開催など「性をヘルシーに語る」活動を行なっている。初の書籍『新しいセックス』(扶桑社)が2022/9/2に発売したばかり。

挿入しなくても楽しめるテクニック「素股」

挿入がない安心を感じつつ相手のぬくもりやふれあいを楽しむセックスの方法として、「素股」又は「大腿セックス」と呼ばれるテクニックがあることを耳にしました。男性器(陰茎)を太ももに挟んで行うそうですね。これなら、挿入は避けたいという人もパートナーと楽しめるかもしれません。BETSYさん、どういうテクニックなのでしょうか?詳しく教えてください。

男性器を腟に挿入せず、挿入しているかのような錯覚を楽しむ行為です。男性だけが快感を得る行為のように聞こえるかもしれませんが、やり方によっては女性も一緒に気持ちよくなることができます。性交痛を避ける目的以外にも、生理や女性器の不調で挿入できない時に取り入れることもできます。挿入は避けたいけど肉体的・精神的なセックスの喜びを感じたい方は、素股を取り入れてみてはいかがでしょうか。

素股のやり方

素股はどんなふうにやればいいのでしょうか?

男性と女性それぞれが快感を得るためにはコツがいくつかあるので、まとめてみました。

男性器への刺激

  • 女性の手と外陰部、またはお尻の割れ目の間に男性の陰茎を挟んで摩擦する
  • 女性が手で握って摩擦する
  • オナホールと呼ばれる男性用セルフプレジャーアイテムを使う

女性器への刺激

  • 陰茎の根元にクリトリスを擦りつける
  • 陰茎(の裏側にある縫い目のような部分)や亀頭でクリトリスを摩擦する
  • 挿入しなくてもいい、セックス ~グッズ活用編~で登場したpom(ポム)Jade、ローター、電マなどのプレジャーアイテムを使う

素股を行う時に気をつけること

実際にカップル間で素股をやる際に気を付けることはありますか?

ポイントになりそうなことがいくつかあります。

①話し合う

信頼関係のあるカップル間での素股とはいえ、性交痛への理解がないと素股を安全に楽しむことはできません。興奮状態になった時に「ちょっとくらいなら挿入しても大丈夫かな」と相手に思わせてしまうこともあるからです。素股を行う前によく話し合い、素股を行う理由をハッキリさせておきましょう。

大事なポイントですね。恥ずかしくてパートナーとセックスに関する話し合いができないという声もよく聞きますが、話し合いをしないと「どちらかが我慢するセックス」になってしまいますね。

②性感染症予防・避妊

挿入しないとはいえ、カップル間での素股は性器どうしを接触させます。体液が付着することは避けられないため、性感染症予防と避妊のためにコンドームを使用してください。

挿入しないとはいえ、カップル間での素股は性器どうしを接触させます。体液が付着することは避けられないため、性感染症予防と避妊のためにコンドームを使用してください。

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挿入しないなら大丈夫だろうと感じる人もいるかもしれませんが、性器同士の接触がある以上、性感染症予防と避妊は大事ですね。

いま販売されている数あるコンドームに関する詳しい説明や選び方は、コンドームソムリエAiさんがこちらの記事で教えてくれていますので、あわせて読んでもらえたらと思います。

③前戯をする

素股は、ただ擦りつけるだけでは気持ちよくなることはできません。男性器と女性器が十分に充血して興奮状態になっていることで快感を感じることができます。そのためには前戯が必要です。オーラルセックスや手での愛撫でしっかり高めてから始めましょう。

挿入するセックスでは、「性反応をきちんと踏まえて身体の準備ができてからでないと痛みが出る、だから前戯を大事にする必要がある」という話がありますが、素股の時も同様にしっかり前戯をして準備しないといけないのですね。

④潤滑剤を使う

素股を行う時には必ず潤滑剤を使ってください。男性器、女性器、手のひらの全てがたっぷり潤っていることで快感を得られる行為です。途中でどんどん注ぎ足して、常にヌルヌルにしておきましょう。

潤滑剤をたっぷり使っていいのですね。たくさんの種類が販売されている潤滑剤ですが、特にこれがオススメというものはありますか?

一般的に挿入時に使われるウォーターベースの潤滑ゼリーはサラッとしていることが多く、素股では粘度が物足りないと感じるかもしれません。もっとヌルヌルした感触が欲しい場合は、PINKFrolicやbdaORGANICのオーガニックジェリーローションハードのように、粘度の高いものを選ぶといいでしょう。

ステディーセックスやピルの服用などの条件が重なってコンドーム装着の必要がないケースでは、潤いの持続時間が長いオイルベースもおすすめです(ラテックス製のコンドームはオイルとの摩擦で破損することがあります)。潤滑剤には持続力の優れたシリコンベースのものもありますが、量をたくさん使うため、水で洗い流しにくいことを考えると、ウォーターベースかオイルベースがおすすめです。

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基本的には、粘度の高いものがいいのですね。また、コンドームを使わないで素股をする場合にはオイルベースのものもありなのですね。

体位別素股のやり方

素股を行う時に取り組みやすい体位はあるのでしょうか?

素股は、「対面騎乗位」と「脚伸ばし正常位」がポピュラーです。難易度で言うと女性主導でできる①対面騎乗位から始めて、②背面騎乗位、③脚伸ばし正常位、④脚伸ばし寝バック、慣れてきたら⑤対面立位、⑥背面立位の順が試しやすいかもしれません。それぞれ詳しく解説します。

①対面騎乗位

男性が仰向けになり、男性器をお腹側に倒した上に女性がまたがります。たっぷり潤滑剤を塗って、体を前後にスライドさせながら外陰部を男性器にゆっくり擦りつけます。男性の陰茎小帯でクリトリスを擦るのがポイントです。

②背面騎乗位

男性に背を向ける騎乗位です。背面騎乗位では、男性器を起こして先端の方を手で握ります。体を上下や前後に小さく揺らしてクリトリスを男性器の根元に擦りつけながら、その動きに合わせて手で男性器をマッサージします。対面騎乗位や背面騎乗位では、TENGA EGGなどのコンパクトタイプの柔らかいプレジャーアイテムを男性器に被せて使うのもおすすめです。体温や感触が手に伝わりやすく、また、柔らかい素材が外陰部に当たるのも気持ちよく感じるはずです。

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(テンガ エッグ ウェイビー ツー)

写真提供:株式会社TENGA

③正常位

正常位の素股では、女性が脚をしっかり閉じて太ももと外陰部の間に男性器を挟み、男性主体で動きます。男性の恥骨がクリトリスへ当たるよう、腰を突き出したり背中を反ってみたりと調整してみてください。irohaSVRのような男性器装着型のローターを使ってクリトリスを刺激するのもおすすめです。

iroha SVR

写真提供:iroha

④対面立位

素股はベッドでなくても行うことができます。女性が壁側に立って向き合ったら、正常位と同じように脚を閉じて太ももと外陰部の間に男性器を挟み、男性主体で動きます。身長差が小さいカップルに向いています。恥骨を前に突き出すとクリトリスへの刺激を受けやすくなります。

⑤背面立位

立って男性に背を向ける、いわゆる立ちバックです。立ちバックでの素股は2種類あります。女性が脚を閉じて太ももと外陰部の間に男性器を挟む方法、もうひとつは、男性器をお尻の割れ目の間に挟む方法で、どちらも男性主体で動きます。太ももと外陰部の間に挟む場合は、前側に出てきた男性器がクリトリスに当たりやすいよう手でサポートするといいでしょう。腟口への滑り込みも防止できます。お尻の割れ目に挟む場合は、クリトリスへの刺激は、自分が男性の手、もしくはpom(ポム)Jadeやローター、電マを利用してください。

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⑥寝バック

女性は脚を伸ばしてうつ伏せになり、男性はその上に覆いかぶさります。太ももと外陰部の間に男性器を挟むか、お尻の割れ目の間に男性器を挟み、男性主体で動きます。背面立位と同じように、クリトリスは手かプレジャーアイテムで刺激しましょう。背中を反ってお尻を高く上げると腟口へ男性器が滑り込む可能性があるので、なるべく背中を反らないよう注意してください。


体の密着度や性器への刺激の強さで、好む体位は人それぞれです。さまざまな体位を試しながら、心地よく感じられ、安心して続けられる方法を見つけていきましょう。

「挿入しなくてもいい、テクニック編」いかがでしたでしょうか。

子宮内膜症などの病気や子宮全摘手術後の腟の短縮化で挿入を避けたい、腟の萎縮でちょっとした刺激で出血が起きるなど、性交痛以外でも挿入を避けたい人は世の中に存在します。

性の健康は「誰もが健やかな性生活がおくれる権利がある」としています。誰にも健やかな性生活を送る権利があるのに、挿入があることで苦痛を感じていたり、セックスをあきらめていたら、今回BETSYさんが紹介してくれた方法をできるところから、始めてみるのも選択肢のひとつ。無理をしない、したくないならしなくてもいいことも忘れずに。

解説:BETSY
監修(テクニック):OliviA
監修(性の健康):柳田正芳(性の健康イニシアチブ)
編集:6483works