相談者:Aさん夫妻(妻35歳、夫38歳)
Aさん夫妻は結婚5年目。Aさんは新婚旅行が初体験でしたがあまりに痛くて中断。その後も週1回試みましたがどうしてもできず、やがてセックス頻度も減少し、最近は年に3、4回になりました。婦人科検診では腟に異常は見られないと言われました。
夫は優しい人で、Aさんが辛そうな表情をすると慌てて止めてくれるのですが、そのうち夫が中折れするようになりました。妻の性交痛が夫のEDを誘発してしまうことはよくあります。Aさんも当初セックスが嫌ではなかったのに、「最後にはまたあの痛みが来るのか」という予期不安でだんだんセックス自体に恐怖を感じるように。
このようにして2人とも性欲をなくし、セックスレス寸前の状態でした。
普段から仲はよく、セックスがなくてもかまわないと思っていましたが、子どもを意識するようになり「これ以上避けているわけにはいかないな」と真剣に取り組む気持ちで夫婦で相談に来ました。
提案した改善策
・セルフプレジャー(マスターベーション)をして、自分の体を触ることに慣れる
・ダイレータートレーニングで力の入れ方、抜き方のコツを身につける
・潤滑剤ジェルを使用する
・スキンシップを増やし、挿入にこだわらない肌の触れ合いや愛撫を大切にする
・どんな愛撫が好みかきちんと伝え、一緒に工夫をする
・飲酒、音楽、アロマ、入浴などなんでもいいので、自分なりのリラックス方法を見つける
その後の経過
仲がいいのに性に関してはお互い遠慮してきちんと話し合いを持たなかったことを反省し、問題と向き合い協力していこうと約束しました。
最初は挿入なしのセックスを週に1回行い、リラックスして夫の愛撫を受けられるようになってから挿入を試みました。下半身の力を抜くように意識し、挿入後身体が違和感に慣れてくるまで夫に動かないでもらったのが功を奏し、ついに最後まですることができました。
成功するまでに約1年かかりました。その後も多少の痛みを伴うとはいえ、うまくいった達成感が自信となり、今は前向きな気持ちで取り組めています。
事例提供・監修:潮英子 公認心理師
こぐまカウンセリング・アソシエーション代表
著書「女性カウンセラーが教える50代からのhow to SEX」(光文社)性行為に対して不安や恐怖、ネガティブな気持ちがある方に向けて、改善の糸口となるような情報をお伝えしていきます
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