【セカンドバージンのお悩み】性交痛と出血で困っています。萎縮性腟炎が原因?(50代・女性)」

みなさんから投稿してもらったお悩みに答える大好評の人気シリーズ第7弾、「お悩みに答えます!Vol.7」。シリーズサブタイトルを「血が出るシリーズ」と題してその1をお送ります。

皆さんの痛みと症状が似ていれば、回答を参考にしてみてください。また、一度も婦人科で検査を受けてない方は、何よりもまず受診してみて下さい。

今回寄せられたご相談は、「ブランクが空いたセックスで痛い経験をしました、萎縮性腟炎かも。」というお悩み。FuanFreeの医療総監修であり、産婦人科医、セックス・セラピストの早乙女智子さんに聞きました。

ご相談内容

「20年振りに性交渉で激痛と出血、萎縮性腟炎ですか?(50代・女性)」

相談者さん

先日20年振りに性交渉を持ちました。前戯で濡れていたらしく、挿入しようとしたら入らず、先を入れられただけで痛かったのですが、無理矢理押し込んだ所激痛が走り薄く出血し、3日程腟と外陰部がトイレにいく度に痛く、悩んでいます。次も痛いのか、20年振りだからなのか、濡れていても萎縮性腟炎なのか。クリニックへ行く必要はありますか?

医師の回答

性行為を長期間しないことによる影響

まず投稿者さんからの質問を整理してみましょう。
 ・20年という長いブランクが空いてからの性交渉
 ・挿入しようとしたら痛かった
 ・無理に挿入したら激痛、出血
 ・その後3日間腟、外陰部がトイレのたびに痛む
 ・年齢から、女性ホルモン(エストロゲン)レベルが下がり腟壁が弱くなっていることも考えられる
 これらを総合すると、萎縮性腟炎の所見と合致する点が多いです。

萎縮性膣炎の可能性と対策

濡れていても痛みができる理由

萎縮性腟炎でも性的刺激があれば濡れますが、腟壁が弱っていると細かい傷ができやすく、痛みや出血につながることがあります。この状態が萎縮性腟炎である可能性が考えられます。

症状への具体的な3つの対処法

このままにしておくと、次も痛いので、対処法として婦人科で女性ホルモンを使った治療、ダイレーターで徐々に慣らす、セルフプレジャーの3つの選択肢があります。

① 婦人科で女性ホルモンを使った治療

婦人科で女性ホルモン(エストロゲン)の腟剤や貼り薬をもらい一旦萎縮性腟炎を治療して落ち着かせる方法です。私の治療では、エストロゲンの腟剤(エストリール腟錠など)をつかうときは、性行為の3日前から使うようにお伝えしています。痛くなってからホルモン剤を使用してもすぐには効かないので、3日くらい前からエストロゲンの腟剤で腟壁を潤わせることをお勧めしているのです。
患者さんから「先生、いつセックスをするのか、なんて予測できないです」なんて言われます。確かに難しいですよね。でも、セックスをする当日にお薬を使っても効果は得にくいのです。

萎縮性膣炎の治療について詳しく説明している記事はこちら

② ダイレーターで徐々に慣らす

挿入時の痛みを軽減するために、潤滑剤/潤滑ゼリーを使ってダイレーターで徐々に腟口や腟壁を慣らす方法があります。パートナーとも可能です。使う際は、潤滑剤を併用し、無理のないペースで進めてください。

潤滑ゼリーを活用したダイレーターの使用例

ダイレーターの基本的な使い方については、丹羽咲江先生が解説する以下の別記事をご参照ください。

直径1cm小指サイズからスタートできる
シリコンダイレーターWR

シリコンダイレーターWRのMサイズ画像
シリコンダイレーターWR

③ セルフプレジャー

自分ひとりでもダイレーターの挿入を試みる。自分のペースで腟を刺激し、徐々に柔軟性を取り戻すことも有効です。最初は小さな動きから始め、快感を得られるようになれば性交渉への不安感も軽減しやすいです。

編集部より

指を使っても可能です。抵抗がある場合は指カバーも販売しています。

直接触れる抵抗を減らす指カバー

フィンドム

セカンドバージンの心得:性生活再開の注意点

子育て中はセックスレスで、10年以上ぶりに性生活再開という方もいらっしゃると思います。セカンドバージンも、バージンです。初体験と同じと考えてもらっていいと思います。過去に性経験があるからといって、無理やりすると痛い思いをするのはよくあることです。
痛いのはいやですよね。たいてい初体験は慎重にゆっくり進めます。心やからだの不安を減らすためにも、最初はトレーニングやセルフプレジャーから慣らすことも検討してみてください。
お子さんが生まれてお互いの関係性も変わっているかもしれません。お互いの心と身体を新たな気持ちで確かめ合い愛し合いましょう。男性は前と違う、と思うかもしれませんが、出産という大仕事を生き延びた母となった女体の奥深さを探ってみましょう。女性も引け目を感じることはありません。何もなかったようにはいかないものです。

まとめ:萎縮性腟炎の疑いがある場合は婦人科受診を

性交痛や出血がある場合、無理をせず専門医の診察を受けてください。適切な治療とトレーニングにより、痛みのない性生活を取り戻すことができます。

また、閉経以降は膣が乾燥しやすく、センシティブになっているので、よく滑るタイプの潤滑ゼリーの選択をおすすめしています。一般的にはゼリー状の水溶性の潤滑剤が主流ですが、シリコンが含まれていると、よく滑り長持ちします。閉経以降に起きる性交痛と潤滑ゼリーをはじめグッズでできる5つの対策を以下の記事で紹介しています。ご参考にしてみてください。

ジェルタイプよりも更に滑りがよい少量のシリコンが入った乳液タイプの潤滑剤

アイディシルク

今回は「20年ぶりのセックスで激痛と出血」というご相談を早乙女智子先生に回答してもらいました。セックスや出産を経験された方でも、長期間セックスから離れている場合は、慣らし期間が必要なのですね。いきなり本番で痛みや出血がおきたらメンタルにも影響を及ぼすかもしれません。自分の心とからだを守るためにも、パートナーの協力を得て、準備期間を持つという新たな認識が広まるといいな、と思いました。

相談を寄せていただいた方や似た症状に悩む方の参考になれば嬉しいです。
お悩みの相談はこちらからどうぞ。

ご注意点

医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療ではなく、正確性や安全性を保証するものでもありません。適切な診断・治療を求める場合は、医療機関等を受診してください。本サイトの情報や利用に際して発生した損害について、当社は一切の責任を負いかねますので、予めご了承いただきますようお願いいたします。

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ふあんふりー編集部
ふあんふりー編集部FuanFree
WHOなどの国際機関が定める「性の健康」の概念に着目し、私たちの編集部は「痛みのない、喜びのある性生活のためにー」をモットーに掲げています。総医療監修の医師をはじめ各方面の専門家との協力を通じて、性交痛に関する信頼性の高い情報を提供しています。私たちは性の健康に対する理解を深め、読者が充実した性生活を享受できるよう、包括的で専門的なコンテンツをお届けしています。