挿入されると痛くて最後までできない、セックスの痛みに公認心理師が回答

前回の記事に引き続き、みなさんから投稿してもらったお悩みに答える、「お悩みに答えます!Vol.2」をお届けします。

皆さんの痛みと症状が似ていれば、回答を参考にしてみてください。また、一度も婦人科で検査を受けてない方は、何よりもまずは受診してみて下さい。

回答者の紹介

潮英子 公認心理師
こぐまカウンセリング・アソシエーション代表
著書「女性カウンセラーが教える50代からのhow to SEX」(光文社)
性行為に対して不安や恐怖、ネガティブな気持ちがある方に向けて、改善の糸口となるような情報をお伝えしていきます。

今日のご相談

性行為中に彼のものが入ってくるとき痛みを感じ、頑張ってるのですが1回もやりおえたことがないです。どうすれば改善できるのでしょうか。(20代女性)

お答え

挿入時の痛みには様々な原因がある

痛みがあるのに毎回頑張ってきたなんて、とても我慢強いのですね。でもこれ以上1人で頑張らないでください。「1回もやりおえたことがない」ということは、挿入はできるがすぐに痛くなって中断しているという状況でしょうか?考えられる原因として、「体」「セックスのテクニック」「不安感」があると思います。体やテクニック面では、こんな原因が考えられます。①うるおい不足、②腟とペニスのサイズが合わない、③腟の形状と挿入角度が合わない、④婦人科系疾患がある。①の場合は潤滑剤を使うことで改善できます。②や③の場合は、挿入角度や体位の工夫が大切になります。またサイズの大きい男性が装着するグッズの使用もおススメです。腟の奥の方が痛いのであれば④の可能性があります。婦人科を受診してみてください。

サイズが長い場合に活用できるOHNUT

サイズが太い場合に徐々に拡張できる

シリコンダイレーターWR

シリコンダイレーター

身体の構造やセックスのテクニックの問題で挿入時に痛みが出ることがこんなにも色々あるんですね。また補足として、挿入が早すぎると性器の準備が整っていないと、痛むこともあります。適切なタイミングは性反応から知るセックスの基本で解説してありますのでご参考に。

さて公認心理師でいらっしゃる潮さんの専門分野、心理面からも色々なことが言えると思いますのでそちらも教えて下さい。

ご相談者さんは彼が大好きですか?彼とのセックスを楽しめていますか?彼には何でも相談できて、話し合いで解決してきましたか?こんな質問をしたのは、性交痛にはこころが深く関係しているからです。彼に対して不信感や不満があったり、彼に気を遣って痛みを伝えられないでいるとしたら、2人の関係性に問題があるのかもしれません。彼とはうまくいっているけど挿入だけができないという場合は、恐怖心や不安感が強くなっていることが考えられます。

初めてのセックスでの挿入がとても恐くて痛かったら、次の回でも不安になるのは当然です。またあんな痛みがあるのは嫌だな…と緊張しながら彼を迎え入れるのでは、脳の興奮が冷めてしまうし、体が固くなることで腟もキュッと締まりがちです。それが痛みを誘発し「やっぱり痛い」となる。そして恐怖や不安がますます大きくなる、という悪循環が起きるのです。

性交痛と心理的な理由というのが直感的に結びつかない人もいるかもしれませんが、そんなにも深い関係があるのですね。この心理的な理由による性交痛にはどうやって対応すればいいのでしょうか?

心理的な理由による痛みにはリラックスが効果的

これを断ち切るには、安心してセックスできる環境づくりをすることです。

  • セックス前には入浴で体を温め性器回りも緩ませておく。
  • 照明やアロマを好みのものにしリラックスできるようにする。
  • 彼に痛みの状況をきちんと伝えて理解してもらう。
  • 潤滑剤選びや挿入時の体位の工夫など、2人で話し合っておく。
  • 挿入時にどうしても痛かったら、「今日はやめて」という意志を表すサイン(肩を叩くなど)を決めておく。
  • 挿入直後は痛みを感じやすいので、女性が「もう大丈夫」と伝えるまでは彼に動かないでもらう。

ふたりでこのように協力して準備を整えておけば不安を感じなくなります。男性が女性の痛みを理解するのは難しい面もありますが、彼にちゃんと理解してもらい、ふたりで工夫を積み重ねていく、そのコミュニケーションの過程があればきっと痛みを改善できると思います。

おわりに

今回は心理的な理由による性交痛について、公認心理師の潮英子さんにお聞きしました。心理的な理由と性交痛が直感的に結びつかないこともあるかもしれませんが、そこには確かに関係があるようです。相談を寄せていただいた方や似た症状に悩む方の参考になれば嬉しいです。 お悩みの相談はこちらからどうぞ。
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ふあんふりー編集部
ふあんふりー編集部FuanFree
WHOなどの国際機関が定める「性の健康」の概念に着目し、私たちの編集部は「痛みのない、喜びのある性生活のためにー」をモットーに掲げています。総医療監修の医師をはじめ各方面の専門家との協力を通じて、性交痛に関する信頼性の高い情報を提供しています。私たちは性の健康に対する理解を深め、読者が充実した性生活を享受できるよう、包括的で専門的なコンテンツをお届けしています。