回答者の紹介
今日のご相談
セックスをする時に、濡れているにも関わらず腟の周り(後ろ側)と中の方が痛くなります。不安です。終わると少量薄い血が付きます。(20代女性)
お答え
薄い血に関して、産婦人科専門医でありふあんふりー医療総監修の早乙女智子先生に、体位の工夫による解決案を、ラブライフアドバイザーでありふあんふりー監修者のOliviAさんに、聞いてみました。
出血は挿入のタイミングが早いから
まず、血が出るのは、腟入口、腟壁、子宮口のどこかに傷がつくからです。痛みや出血を無くすために「濡れている=挿入OK」ではない、と理解してください。性反応は興奮期(=濡れてくる)、高原期(=腟が開く、子宮が持ち上がる)、オーガズム期、消退期の4段階があります。興奮期に挿入されてしまうと痛みを感じ、せっかく濡れていた腟も回復期に(つまり平常状態に)戻ってしまいます。理想的には平坦期かオーガズム期、わからなければ女性側がイッた直後に挿入するのが好ましいでしょう。前戯については、かける時間の長さが重要なのではなく十分な反応を引き出すことが大事なので、女性の気持ちや身体が乗ってきているかに気をつけてください。
性反応の仕組みが分かっていれば、「痛いタイミングなのに無理して挿入してしまう」ということを防げる大切な知識です。詳しくは、性反応から知るセックスの基本へ
濡れてきてすぐの挿入ではタイミングが早すぎる可能性があるということですね。きちんと前戯をして、女性側が受け入れる準備ができてから挿入したいところです。挿入時の体位の工夫で痛みを軽減する方法もあるのでしょうか?
体位や挿入の工夫で痛みを回避
腟のまわりが痛むケースでの体位の工夫ポイントは、腟とペニスの挿入の角度です。とくに男性のペニスが上向きの角度になるほど勃起している場合、バック(後背位)では、会陰に無理な力がかかる状態になりますので、バックは避けたほうがいいです。また、ペニスの抜き差しの動きが大きい場合、摩擦が強くなります。相手の男性に協力してもらい、繋がったままじっとする時間をつくる、抜き差しの腰の前後運動を小さくして勢いをつけずに挿入するという工夫もあると思います。
バック(後背位)を避けることと、ピストン運動の動きが激しくならないようにすることが工夫として挙げられるのですね。また、そのほかにもアドバイスがあるそうですね。
体位や挿入時の動き以外にも考えられる痛みの原因
体位以外の原因として考えられるものに以下のものが挙げられます。
- 相手の性器の形状(太さ)
- 挿入時間が長い(射精遅延)
- 女性側の外陰部の乾燥
- 前戯での腟のほぐし不足
このうち③の場合は、外陰部の乾燥を招きやすいトイレでのビデの過度な使用を控える、トイレットペーパーでの摩擦を軽減し外陰部の保湿ケアを行うことで改善されたケースがありました。また④の場合はペニスの挿入前の前戯でパートナーに協力してもらい、腟に指(人差し指か中指)を1本入れ、腟口と腟壁をゆっくりストレッチするようにほぐしておくといいです。ほぐし方は、上下、左右、小さく円を描くように押し広げる方向を変えて行います。
体位以外にも様々な原因と解決策があるのですね。また、挿入の仕方を工夫するという発想もあるそうですね。
挿入の仕方を工夫するという発想もある
「セックス」は基本的には「ペニスを腟に入れて射精する」ことを指しますが、サイズ感、年齢、体調、気分、月経周期のタイミング、腟内の摩擦頻度、角度、挿入から射精までの時間などにより、どういう体験をするかが変わります。例えば、最初は十分濡れていても、射精までに時間がかかるために途中から乾いてしまう場合もあるでしょう。ご相談の中にあった「終わる」とは男性が射精することを指すと思われますが、女性の興奮は必ずしも男性と同じだけ続くわけではないため、女性側が痛くなったらやめるというのも選択肢の1つです。また男性側がなかなか射精できない場合は、挿入せずにマスターベーションなどで盛り上げたうえで途中から合体するブリッジングテクニック(橋渡し法)もあります。
今回は「セックスをする時に濡れているのに痛く、終わると出血している」という相談について、早乙女智子先生とOliviAさんにお聞きしました。濡れていても挿入がOKなわけではない、体位の工夫や挿入方法の工夫で回避できる可能性があるなど、様々なアドバイスがありました。相談を寄せていただいた方や似た症状に悩む方の参考になれば嬉しいです。
お悩みの相談はこちらからどうぞ。
早乙女智子先生 産婦人科専門医
日本性科学会認定セックスセラピスト
性と健康を考える女性専門家の会会長
日本性科学会副理事長
OliviAさん ラブライフアドバイザ
2007年より性に関する総合アドバイザーとして本格的に活動開始。
著書「セックスが本当に気持ち良くなるLOVEもみ」日本文芸社ほか
多方面で「女性のセクシュアルウェルネス」「コミュニケーションを重視した性生活」の提案を行っている。