相談者:会社員Fさん(23歳)
相談内容
Fさんは同棲中の彼(25歳)同伴で来談しました。
交際3年、Fさんにとって初めての彼です。初体験から痛みはありましたがそれほどでもない時もあり、いつか慣れるだろうとやり過ごしていました。しかしこの1年ほど、毎回挿入後すぐに痛むようになり、セックス自体に消極的になっていました。結婚を視野に入れており、結婚したらすぐに子どもがほしいという気持ちは一致しています。彼は普段から優しく協力的なタイプで、一緒に原因を見つけようと言ってくれています。
産婦人科の検診では異常なしと言われたので、今回はカウンセリングに来てみたということでした。
提案した改善策
原因を体、テクニック、こころに分けて考えてみました。
①体
医師に膣の形状の異常や婦人科系疾患はないと言われています。もともと体質的にうるおいが少なく、恋愛初期の興奮が落ち着いてから濡れにくくなったのか。彼の性器のサイズが大きい可能性もあります。
Fさんは彼しか経験がなくサイズを比較しようもありませんでしたが、彼本人が「むしろ小さいコンプレックスがあるくらい」と言っていたのでサイズが原因ではなさそうです。こういう本音も彼が来たからこそわかることで、パートナーが同席していると原因を絞りやすくなります。
「以前潤滑剤を使用したことはあったが、効果がわからずやめた」という話も出ました。
たまたま買ったものを2、3回使っただけで諦めたと言う方はとても多いのですが、体質や好みに合った潤滑剤に出会うまでいろいろ試してみるとよいでしょう。
②彼のテクニック
どのような前戯をしているか、挿入角度や体位の工夫をしているかなどを男性が率直に教えてくれると解決の糸口がつかめるものです。Fさん達の場合、彼も女性経験が少なく性器への愛撫がおざなりだったこと、挿入後すぐに激しく動いたり、奥深く入る体位をとっていたことがわかったので、痛みの少ない体位を紹介しました。
③こころ
日頃から仲良しでコミュニケーションもよく取れているという2人でしたが、改めてカウンセリングの場でお互いへのリクエストを聞いてみると、「もう少し家事に協力してほしい」「同棲してからほめてくれなくなった。以前はよくかわいいと言ってくれたのに」といった不満がFさんから出てきました。彼の方も「コロナでテレワークになってから監視されてるみたいで落ち着かない」というグチがこぼれました。
お互いの役割分担や、やってほしいこと・ほしくないことのすり合わせ、感謝の言葉を伝え合うなどはセックスと直接関係ないのですが、日常で小さな不満をためないことが関係性に大きなプラスの影響を与えるものだと伝えました。
その後の経過
「言われたことを全部やってみた」と積極的に取り組んだ効果はてきめんで、わずかひと月で痛みが劇的に改善したという嬉しい報告を受けました。 何が主な原因だったのかわかりませんが、恐らく体、テクニック、こころすべてが複合的に絡んでいたのだと思われます。 性に関する相談ではどんな主訴であれ、パートナーが一緒に来てくれるカップルの方が改善率が高いという印象があります。セックスにおいて、本音が言える関係性とパートナーの協力がいかに大事かということの表れだと思います。
事例提供・監修:潮英子 公認心理師
こぐまカウンセリング・アソシエーション代表
著書「女性カウンセラーが教える50代からのhow to SEX」(光文社)性行為に対して不安や恐怖、ネガティブな気持ちがある方に向けて、改善の糸口となるような情報をお伝えしていきます
・心理カウンセリングの受け方
・潤滑剤の選び方