ヒリヒリと痛くなるほどの摩擦と言われて連想するのは、男性パートナーの激しい前後運動もしくはピストン運動です。過去の中折れの経験から萎えることが不安で激しく動かす、射精まで長い時間を要し途中で腟内の潤いが乾いてしまいヒリヒリする、といったことが頭に浮かびます。
受け身である女性器はデリケートです。激しく触る、擦るを繰り返すことで疲弊したり、痛みを感じたりします。ひどい時は、翌日までヒリヒリするなんてことも耳にします。
男性が「気持ち良くなって欲しい」と思ってやっている場合、女性は痛いと感じても「痛い」「やめて」と言いづらいこともあるものです。今回はそのような摩擦に関する話題を取り上げ、どうすればいいのか、ふあんふりー編集長のこばやしとディレクターの柳田が、ラブライフアドバイザーのOliviAさんに聞いてきました。
目次
OliviAさんの紹介
挿入時は濡れていても、挿入時間が長くなると乾いてきて途中からこすれて痛いなど、性交時の痛みと濡れ具合は大きく関係していますよね。
そうですね。途中からのヒリヒリ感には、途中で潤滑剤を足します。最初は十分に濡れていても、挿入時間が長くなると途中で潤いが足りなくなってくることもあります。そういう時は、浅く挿入した状態でペニスに潤滑剤を数滴垂らして、腟のなかに塗り伸ばしてください。日常的なもので例えるなら、網戸が上手く開かないときにオイルを垂らし滑りをよくするような感じです。
浅く挿入した状態というのをもう少し詳しく教えて下さい。
ペニスを半分くらい挿入、半分くらい引き出した状態ですね。その状態でペニスに潤滑剤を数滴垂らします。このタイミングでコンドームの装着がしっかりできているかも確認するといいと思います。
潤滑剤を垂らすのは男性にやってもらったほうがいいんでしょうかね?
必ずしも男性にやってもらう必要はないですよ。体位によって動きやすい方がすればいいです。なお、潤滑剤はチューブ式より蓋を開ける手間がかからないワンプッシュ式が使用しやすいと思います。
長い摩擦から守ったり、ヒリヒリしないためにも、挿入感は損なわないけどしっかりと滑り、長持ちする潤滑剤を使用するのも大切ですよね。こちらの「潤滑剤の選び方」の記事も参考にしてみてください。
潤滑ゼリーを塗るタイミングも人それぞれですね。挿入時に痛みを感じる場合は、挿入時に。挿入して途中から乾きを感じる人は、セックスの途中で。なお、途中での乾きは、挿入時間の長さと比例して発生しやすいです。
次の質問は摩擦とはちょっと違いますが、濡れ具合が足りないから挿入時に痛い、挿入に対する恐怖があって濡れないから挿入が痛い、といった方もいると思います。そんな場合にはどうしたらいいでしょうか。
腟に異物が入ってきた時に身体を守るための適応で、一時的に腟壁の分泌液が増えるという自然な身体のリアクションがあるのですが、それを利用するのはどうでしょうか?
そういうものがあるのですね。たしかに、勢いよく挿入してピストン運動に入るというのは、女性の身体の性反応にはマッチしませんね。科学的な性反応というものが残念ながらあまり知られていないので、知らない方がいても当然ではあるのですが。詳しくは、性反応から知るセックスの基本へ
そうですね。挿入するときはスッと一気にではなく、ゆっくり(一旦止めてもOK)、声かけ確認しながら進めます。ピストン運動も忙しく動かすのではなく、ゆっくり動かします。そうすると、お互いの性器が馴染みはじめ、潤滑液も十分に出てきます。
- 挿入するときは、ゆっくりと。
- 挿入後しばらく動かずに潤いが増してくるのを待つ。
- すぐに動かさず、なじませタイムを守る(30秒~1分)
年齢関係なく中折れに悩む男性がいますね。一度経験すると「またなるかも」という焦りから、激しい上下運動でなんとか最後の射精までと無我夢中になってしまうような話を聞きます。無意識に摩擦の回数が増えてしまい女性パートナーに負担がいってしまうこともあるようです。悩む男性に向けて「中折れ防止のための摩擦」への対応策などありますか?
半立ちやちょっとしぼむようなときは、パートナーに協力を求めるというのはどうですか。無理に激しく腰を動かすと、女性側の気持ち良さはどこかへ行ってしまい、身体に負担をかけてしまうこともあります。協力を求めると言っても大袈裟なことではなく、上半身の気持ち良い場所や性器に「触って」とリクエストをする感じです。そうして心地良さやリラックスすることで勃起の回復をねらいます。まさにセックスは共同作業ということです。
リラックスする時に働く副交感神経が優位になっていないと勃起しないですからね。考え事をしたり悩みや心配事がある時に働く交感神経が優位の時には勃起の維持が難しいものです。「勃起は繊細な生理現象」と言われるゆえんですね。だから、リラックスが大事ということになるのですよね。
そうですね。他にはつながったままの状態で、愛撫をしてもらったり体位を変えたりすることも有効です。協力してもらうバリエーションは実に様々です。自己解決しようとせず、相手に打ち明けコミュケーションを取るといいと思います。また、勃起していたペニスが少しでもちぢむとコンドームに余裕ができてシワっぽくなります。その状態で動かすと、コンドームのシワで不快な摩擦が生じることもあります。コンドームの脱落の原因にもなります。意識的に装着状態に注意してほしいと思います。
多くの男性は「勃起=性的なパワーの象徴」のように考えているかもしれませんが、年齢問わず誰でも勃起の維持は難しいものですよね。女性は勃起が持続しないからといってそんなに気にしないと思います。勃起がうまくいかないことを変に隠そうとするより、正直に伝え話し合って工夫して楽しんだり、今日は残念だねと中断するのもありということを知っておいて欲しいものです。
射精遅延で長いこと摩擦を続けてしまうと受け身側の女性が痛くて耐えられなくなってしまいます。もちろん男性側も女性に痛みを与えたいわけではないのですが、受け身側には苦行のような痛みとなる場合もあると思います。そういう思いをしなくても済む方法はありますか。
体位を工夫してはどうでしょうか。骨盤底筋をキュっと締める体位、視覚的に興奮する体位などです。例えば正常位でも胸の前で膝を折り曲げて体育座りするような形を取ると腟の締め付けが強くなって射精までの時間を短くすることもできるでしょう。また、バックのように結合部が見える体位だと視覚的な興奮を高めることができるので、やはり射精に導きやすくなります。
外部的な要因も
ヒリヒリを感じる原因は、多様です。他にもヒリヒリに関連しそうな記事をご紹介します。
・手荒なタッチや激しいピストン:女性は激しいセックスで傷つく
・性器が充血(ふっくら)して準備ができる前に挿入してしまうと、性器が傷つくことも:性反応から知るセックスの基本
・コンドームの9割に使われているゴム素材(ラテックス)によるアレルギー反応による刺激:ラテックスアレルギー
・腟のまわりや後ろが痛くなる事例からの回答:濡れているのに痛い。薄く血も出る。
まとめ
・乾きを感じた時は途中でも潤滑剤をプラス
・性反応に沿った挿入タイミングに
・挿入、ピストン運動はゆっくりと、声かけ確認しながら進める
・お互いの性器が馴染みはじめ、潤滑液も十分に出る
・中折れは体位の工夫で
・ラテックスアレルギーの可能性もあるのでコンドームの素材を変える
多くの受け側や女性が経験するセックスが終わった後のヒリヒリ感、お互いが苦痛のない心地よいコミュニケーションにするために、できるところから取り入れてみてください。
監修:ラブライフアドバイザー OliviA
OliviA ラブライフアドバイザー
2007年より性に関する総合アドバイザーとして本格的に活動開始。著書「セックスが本当に気持ち良くなるLOVEもみ」ほか多方面で「女性のセクシュアルウェルネス」「コミュニケーションを重視した性生活」の提案を行う。