ダイレーターの効果的な基本の練習法、使い方を入らない悩みを診察する産婦人科医が解説

ふあんふりーのInstagramから毎月2回インスタライブ「セックスセラピスト・佳菜子の部屋」をお届けしています。挿入障害の診療を専門とする産婦人科医・村田佳菜子先生がホストを務めます。この記事はこれまでの同インスタライブでお話しされた内容をまとめた記事です。11月からスタートした「セックスセラピスト・佳菜子の部屋」では、挿入が困難な方の治療に関してさまざまな側面に焦点を当てています。今回は、2023年11月12日に配信した第1回目のテーマ「ダイレーターの使い方」について、ライブ配信の内容を分かりやすく要約してお届けします。

村田佳菜子先生のプロフィール

日本産婦人科学会認定専門医 村田佳菜子先生

医療法人LEADING GIRLS
女性医療クリニックLUNA ネクストステージ

【略歴】
2011年 日本大学医学部医学科卒業
2013年 順天堂大学産婦人科学講座入局
2019年11月 女性医療クリニックLUNAで婦人科・性機能障害外来の診療開始

【所属学会】
日本産婦人科学会、日本女性医学学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本性科学会、日本性機能学会、日本GID(性同一性障害)学会、関東ジェンダー医療協議会 理事

腟ダイレーターとは

腟ダイレーターは腟の中に挿入し腟を拡張する器具です。腟狭窄の予防などさまざまな目的で使用されます。この記事での『ダイレーター』は、自身の腟周辺の筋肉の弛緩を促すトレーニングに使用する目的を指します。
挿入時に無意識的に腟周りの筋肉が収縮し、腟けいれん(ワギニスムス)を引き起こす現象へのトレーニングです。

登場する「シリコンダイレーターWR」について

表面が滑らかなシリコンのスティック
<長さ>
全長は全サイズ共通で19cm
中央のへこみ(持つところ)から先端までは9.5cm
<幅(太さ)>
小:1.0cm/1.5cm
中:2.0cm/2.5cm
大:3.0cm/3.5cm
3本で6段階のサイズ分の構成になっています

セルフトレーニンググッズ

シリコンダイレーターWR

挿入が難しい人にとってのダイレーター

ダイレーターは、少しも入らない人、入るけど痛い人のどちらにも活用できます。「入るけど痛くてできない」という人は、小さいサイズを見ると馬鹿馬鹿しく感じるかもしれませんが、小さいサイズからトレーニングを重ねることで本当に痛くなくなる人がいます。ぜひ小さいサイズから順に試して欲しいです。

シリコンダイレーター

現在の状態を確認

指が腟に入るなら、すぐにダイレーターを使った練習を始められます。
指が入らない人は、性器を観察するところから始めます。外陰部の構造がわからない人もいると思います。外性器の図を見ながら、大陰唇、小陰唇、腟口などの位置関係を確認していってください。図はネットで見つけることができます。

外陰部のイラストです。実際の性器と見比べるときは、広げます。図解と違っていても驚かないでください。外陰部は千差万別です。図は、「だいたい、これはこの辺にある」といったものを図解しているだけです。実際はひとりひとり違っています。

編集部より

FuanFree医療総監修の早乙女先生がImidasのサイトで外性器について解説するこちらもご参考に:性知識イミダス:知っているようで知らない「女性外性器」

トレーニングを始める前に

瞑想やヨガをやっている人であれば、ダイレーターを使うトレーニングの前にやって欲しいです。雑念を払って、ネガティブなものを追い払って、自分がリラックスできる状態をつくれます。瞑想やヨガが難しい場合は入浴などでもいいです。時間がなく焦ってリラックスできない場合は、おやすみするという選択もOKです。心の余裕があるときや体調がいいときにトレーニングすればいいです。ただ、忙しい場合でも週に1回程度はできるように先にスケジュールを作っていくほうがいいです。時間がつくれなくなってしまうのを防ぐためです。

ダイレーターでのトレーニングの前にクリトリスをマッサージして刺激してもいいですか?

性的なマッサージでも、腟周りを柔らかくするマッサージでも、トレーニング前にやるのは効果的です。パートナーと一緒に練習するときも、性行為としてトレーニングを楽しんでもいいですね。ただトレーニングでいやになってしまわないように、性行為をするときはかならずダイレータートレーニングをする、などと義務付けたりしないほうがいいです。時々取り入れるなどしてのんびりやります。プレッシャーを感じることが一番よくありません。

あてるだけのラブグッズ

pom(ポム)

トレーニング方法

トレーニングの方法を、スタートサイズ、深さ、姿勢と方向、ゼリーの活用、途中で痛くなったとき、練習の頻度6つの観点から具体的に紹介します。

観点1:スタートサイズ

ダイレーターの練習は、毎回必ず最小サイズの径1センチのものから順番にスタートしてください。性行為のときも同じ。余裕があるものから入れて順番に太くしてください。時間はかかりますが長期的にみて成功します。

観点2:深さ

溝のところが見える状態だと、キュッとしまっているところを通過した状態なので、腟口から奥に10cmくらい入れても、実際には8cmくらいが入っています。10cmまでは入っても腟の奥が壊れるようなことはありません。Inspire※は15cmくらいあるので、全ていれる必要はありません。 ※別メーカーのダイレーター名

一番小さいサイズのダイレーターが3~4センチくらいしか入っていないと、一見半分くらい入っているように思えても、ほぼ入っていません。ワギニスムスは、腟の入り口にある筋肉がギュッと閉まってしまう状態なので、3センチくらいだと、閉まったところまでしか入っていないことになります。また角度が誤っていることもあります。角度がわからない人や一番小さいサイズが入らない人は一度外来にきてください。

観点3:姿勢と方向

腟の角度は人それぞれ違うので必ずとは言えませんが、仰向けに完全にフラットに寝た状態だと、ダイレーターを床に平行にすれば入ります。フラットに寝てしまうと自分で入れられない(届かない)ので、パートナーに入れてもらうといいです。それによって挿入時の角度もわかるので試して欲しいです。

上半身を起こすと方向がわからないことが多いですが、腟の場所がわかっていれば、先端を入り口に当てて、ダイレーターが並行な状態から、少しずつ角度を斜め上にずらして(手元を下げて)入る角度を探します。入り口がキュッとしまっていなければ、スッと入ります。

それでも難しい場合は、外来に来てください。角度を知ることができます。タンポンを入れるときのように立ったりしゃがんだりした姿勢での挿入でもいいのですが、最終的にはペニスをいれるときは正常位が多いので、正常位で入れられるようにすると後々スムーズです。最初の練習では好きな体勢で大丈夫です。

観点4:ゼリーの活用

ダイレーターを使用するときは、滑りやすいようにゼリーを先端につけてください

観点5:途中で痛くなったとき

挿入時に痛みを感じるとパニックになることがあります。そのときは、ダイレーターを抜かずに一旦動作を止めて、深呼吸や息をゆっくり吐いて落ち着くことが重要です。痛みを和らげるためには、精神を落ち着かせ、全身の力を抜くことが効果的です。動作を止めると、痛みも軽減されます。こうして、痛みを自分でコントロールできるという成功体験を積むことができます。
パートナーと練習する際には、痛いと言っても抜かずに止めるだけにすることを伝えてください。
腟がキュッとしまっているときは、あえて腟に力を入れて締め、そしてゆっくりと緩める練習をしてください。その際、お尻を持ち上げずに行うことがポイントです。

観点6:練習の頻度

妊娠を急いでいるなど、その人の状況にもよりますが、間が空きすぎると感覚がわからなくなって最初からやり直しになってしまうかもしれないので、最低週に1回、理想は週に3回です。
毎日でもいいですが、心の負担にならないように気をつけてください。

性交開始のタイミングと方法

開始のタイミング

ダイレーターセットの2番目に太いサイズ(直径30mm)にたどり着いたら始めても良いです。パートナーの勃起したペニスのサイズがそのダイレーターのサイズに相当するか、その1つ小さいサイズまで達したら、ペニスの挿入練習を開始することができます。

性行為の実践

ダイレーターを小さいサイズから使用して、腟が適切に拡張されていることを確認した後、ペニスの挿入を試みてください。ただし、ダイレーターと異なり、ペニスは先端が細くなっていないため、太さに注意が必要です。

リラックスのコツ

服を着たまま体位をとるだけの練習を行うなど、体位や状況に対してリラックスする練習をしてみましょう。

気をつけること
  • 義務付けない
  • 練習が嫌にならないように工夫する

おわりに

ダイレーターの練習方法は、人によって千差万別です。これが絶対正しいというようなことはありません。まずは基本事項にそって実践してみて、うまくいくか試しましょう。つまずいた場合は、その都度、自分に合うように修正していくといいと思います。そのためにも、いつ、どういう状況で、どの太さのダイレーターを使用したか、記録をつけておくことをおすすめします。どうしたらうまくいくのか、いかないのか、考察しやすくなりますし、自分の体や気持ちの変化に気づきやすくなります。

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ふあんふりーでは、村田佳菜子先生とインスタライブを行いながら、定期的なアンケートを実施しています。今回は「ダイレーター」をテーマにアンケートを実施中。みなさんのご意見をお聞かせください。

アンケートのお願い

シリコンダイレーター
注意点

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WHOなどの国際機関が定める「性の健康」の概念に着目し、私たちの編集部は「痛みのない、喜びのある性生活のためにー」をモットーに掲げています。総医療監修の医師をはじめ各方面の専門家との協力を通じて、性交痛に関する信頼性の高い情報を提供しています。私たちは性の健康に対する理解を深め、読者が充実した性生活を享受できるよう、包括的で専門的なコンテンツをお届けしています。