
みなさんから投稿してもらったお悩みに答える大好評の人気シリーズ第5弾、「お悩みに答えます!Vol.5」。
皆さんの痛みと症状が似ていれば、回答を参考にしてみてください。また、一度も婦人科で検査を受けてない方は、何よりもまず受診してみて下さい。
今回は寄せられた相談の中から、複数の方が相談してくださった「会陰」が切れる・裂けるというお悩みを取り上げます。ふあんふりーの医療総監修である早乙女先生にきいてみました。
目次
今日のご相談1

彼との行為時に、会陰が裂けるようになりました(真ん中辺りだけ、肉割れのようにメリッと)。付き合って半年くらいは全く問題なかったのですが、突然こうなりました。会陰マッサージをしてみても効果なし。痔のように、もう半年以上繰り返しています。病院では保湿用の塗り薬の処方のみでした。どうしたら良いのでしょうか?
(30代・女性)
お答え
会陰が切れるのは、そこが弱い部分だから

まずそもそも、会陰に限らず口唇の両端など、同じところが切れることは誰にでもあります。弱いところが伸びきらずにひびが入るからです。それと同じで、会陰が弱いから繰り返し切れてしまうのです。気を付けていてもそうなることはありえます。人間の身体は左右合わさっている部分が多く、会陰のように身体の中心線にあたるところは、胎児の時に臓器が形成される過程で左右から合わさってできた部分で、性交時に引き延ばされた時に接合部が一番離れやすいわけです。

弱い部分が切れやすいという説明は納得です。
ある患者さんの切れ癖を直した処置の話

一度切れてしまうと、切れやすくなります。切れても治るけれど完全には治りきらないで、また切れてしまう、という繰り返しで悩む患者さんが来たことがありました。そこのところをちょっとだけ切り取って、きれいな傷にして縫い直したことが、一例だけあります。粘着テープが古くなると何度貼っても開いてしまいますよね。その粘着面を新しくするような処置です。
両側にちょっとだけ新しい傷を作って縫います。それで治る保証はありません。また誰にでもこういう方法を進めているのではなく、保湿ケアしてみた、右・左・前とマッサージしてみた、潤滑剤を使ってみた、という具合にあらゆる方法を試したうえでこのままにするのは良くないと思った段階で出した選択です。患者さんにはダメもとでよければと十分説明した後、納得されたので試みました。結果その方法がその患者さんには成功して完治しました。

誰にでも効果がある方法ではないものの、そういう処置の仕方もあるということが分かると、希望を感じます。
切れるのを克服するマッサージ法

切れることはとても困ることです。そこで、弱い後ろに力がかからないように左右や前の方を伸ばすような感じで、自分の指なり細いもので挿入練習をして、ちょっとずつ全体を伸ばしていくという方法があります。
左右と上部のマッサージ例

こういうセックスセラピーは普通の婦人科ではほぼやらないと思います。日本性科学会が認定するセックスセラピストの資格を持っている婦人科医のところへ行って欲しいと思いますが、切って治す治療は標準的というわけではありません。

「弱く切れやすい会陰を直接マッサージするのではなく、切れない強いところを伸びやすく緩める」という発想はなるほど!と思いますね。また普通の婦人科で治らなかったら、セックスセラピストの資格を持つ婦人科医のところに行ってみるという選択も覚えておきます。
今日のご相談2

現在彼氏とは遠距離恋愛中で、会えるのは月に1回程度。
だからこそちゃんと愛し合いたいのに毎回挿入時に入り口がヒリヒリ…終わった時に会陰の皮膚が裂けて血が出る事もよくあります。病院に行ったり、潤滑剤を使用しても改善せず将来が不安です。遠距離が終わり回数が増えれば改善するのでしょうか…? まだしばらく遠距離は続きそうなので、会陰に負担のかからない体位があれば教えていただきたいです。
(20代・女性)
お答え
セルフプレジャーで硬いところを伸ばす

月1回だと会陰が伸びないため、ご質問のようなことはありえます。月に1回だとすぐに縮んでしまうため、次の時縮んだ状態から伸ばして、伸びきらないうちに挿入して、また縮んで、次の時にまたそこから伸ばして、というのを毎月繰り返している感じです。週に1回くらいセルフプレジャー(マスターベーション)で挿入の練習をしておいたほうがいいでしょう。セルフプレジャーは自分の指で伸ばすイメージ。ラブグッズを使っても問題ありません。

上記でも出ましたが、硬いところをマッサージして緩めるということがやっぱり大事なんですね!

痛くない体位は?

正常位は会陰に負担がかかるので避けて、横向きの添い寝バックや四つん這いで後ろ向き、上体を落とすバックの体位などは会陰に当たりづらいですが、これはあくまでも一例です。性器の向きは男女ともに個々に異なります。これらの体位だけに限定せず、会陰にあたりづらい体位を二人で確認しながら探していくのがポイントです。または女性側が手で、ペニスが会陰に当たらないように向きを変えることも可能ですね。二人で切れやすいところに当たらない工夫をするといいでしょう。
TIPS①! 切れやすい場所の摩擦の負担を減らすための、潤滑剤選び
潤滑剤は、性行為中に滑りをプラスし、性器を傷つけないセイファーセックスの役割もあります。特に、会陰など性器が切れやすい部分や性交後のヒリヒリ感に対して重要です。海外には潤滑剤専門メーカーが存在し、多岐にわたる性生活のニーズに適した製品づくりが特徴です。価格がやや高く感じるかもしれませんが、こうした専門メーカー製の潤滑剤をおすすめします。
毎回同じ場所に負担がかかる場合、オイルのような質感で非常に滑りがよく、少量でもツルんと滑るのが特徴のシリコンベースの潤滑剤を試してみるのもひとつの選択です。ただし、シリコンの質感は油っぽく扱いが難しいので、ここではウォーターベースに少量のシリコンを入れたハイブリッド(混合)タイプの潤滑剤を紹介します。さっぱりとした質感で一般のウォーターベースよりも格段に滑りが良いので、検討してみてください。
潤滑剤(ゼリー)の選び方、おすすめゼリー で詳しく解説しています。
TIPS②! 会陰の乾燥により切れやすい場合は普段から保湿ケアを
くちびるも乾燥すると、端が切れてしまうことがあります。それと同じ原理で、普段から保湿をしておくことで、会陰を乾燥から守り負担に負けない一助となります。
また最近、外陰部の洗いすぎによるトラブルが多いようです。過剰な洗浄は、肌や粘膜の乾燥につながりやすいので、注意してください。
会陰の保湿にユアサイドデリケートモイストジェル

監修:産婦人科医 早乙女 智子
セックスの際に膣前庭部が毎回切れてしまいます。濡れていても、ローションを使ってみても切れます。
旦那さんサイズが大きめなのもあると思うのですが、「また切れる」と思うと性行為にも前向きになれなくて悩んでいます。伸ばすようにマッサージを続ければ膣前庭部も伸びるものでしょうか?
手術で改善する可能性があるなら手術も前向きに考えているのですが、一般の婦人科で手術などは行っているのでしょうか。
まりさん、ご質問、ありがとうございます。毎回切れるのはとてもつらいことですね。何度も切れる原因は複数考えられます。ぜひ、一般の婦人科で診察を受けて、切れやすい箇所を確認してもらうことをお勧めします。すでにお読みいただいたかもしれませんが、潤滑剤については「潤滑剤の選び方」の記事をご参考にし、よく滑る潤滑剤を選ぶようにしてください。お大事してください。