女性ホルモンと性器の潤い

女性ホルモン「エストロゲン」が減少することで更年期症状に

女性の潤いは、女性ホルモンのエストロゲンと深く関係しています。
エストロゲンは下記の図のように様々な働きがあり、女性の皮膚や粘膜の潤い、弾力を保つのも役割のひとつです。

閉経が近づいて卵巣機能が低下したり、病気や薬の服用でエストロゲンが長期に渡り減少すると、性器からでる分泌液(潤い)の減少につながります。

下記のグラフのように、閉経に向かう時期から、エストロゲンは徐々に減少。更年期症状が見られるようになります。
それ以外でも、病気や薬の影響でエストロゲンが減少する場合は、年齢を問わず更年期症状が出る場合も。

更年期症状による外陰部の乾燥が性交痛につながる

では更年期の症状には、どのようなものがあるのでしょうか。
下記のイラストのように、ホットフラッシュ、うつ症状、不眠、関節痛などの他に外陰部の不快感や性交痛などが代表的な症状といわれています。
皮膚や粘膜のハリやみずみずしさを保つエストロゲンが減少することで、腟や外陰部、顔の皮膚にも同じような乾燥がはじまり、様々な症状が現れます。

  • 腟内の分泌液の減少
  • 外性器(大陰唇や小陰唇)の萎縮(縮んでしまうこと)
  • 腟の萎縮や腟粘膜の菲薄化(ひはくか)
  • 外陰部、腟壁のコラーゲンの減少
  • 腟の伸展性や弾力性の低下
  • 腟の衛生状態を守る酸性度の低下

上記の症状が進行すると

  • 下着が触れるだけで、かゆみ、ヒリヒリ感、擦れた感じがするなどの不快感
  • 性交時や婦人科の検査などの刺激で出血しやすくなる
  • 腟炎を頻繁に起こしてしまう

これらの症状は、エストロゲンの減少による体の変化。我慢して良くなることはないので、腟炎や少しの刺激で出血がある場合は、婦人科を受診してくださいね。

対処法

エストロゲン減少による性交痛は、初期の場合は潤滑剤で潤いをカバーすることができます。アダルトローションは粘り気が強すぎるので避けてください。
乾燥が進行すると、腟や外陰部の萎縮が始まり、潤滑剤ではカバーが困難なこともあります。婦人科に相談して「性交痛がある」と伝え、適切な治療を受けましょう。

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治療方法

  • 「性交痛がある」と医師に伝え、内診と婦人科検診をうける
  • エストロゲン減少による、性器の乾燥の場合は、H R T(ホルモン補充療法)
  • H R Tができない場合、エストロゲンの腟剤や外用薬の処方
  • 保険適用外で、腟に炭酸ガスレーザー照射治療 など

最後に

エストロゲンの欠乏による性交痛は、治療できることがご理解頂けたかと思います。痛い経験は不安や緊張などの生み心労につながりやすく、孤独に悩む方も少なくないと感じます。投薬でエストロゲンが少ない状態の場合は主治医に相談。閉経により起きている場合は、婦人科の医師に相談してみてください。