閉経前後から起きやすくなる腟の乾燥や萎縮による性交痛は、意外に思うかもしれませんが、実は一般的な更年期症状のひとつです。そして他の原因の性交痛と比べて、対処や治療が可能なことがポイントです。また性交時の痛みが病気に関連している可能性もあるため、最初のステップとして、婦人科の受診を強くおすすめします。
悩む方が多い更年期・閉経以降から感じる性交痛についての記事を、このページにまとめましたのでご紹介します。
目次
こんなことありませんか
- 性交の回数を調節してなんとか我慢している
- パートナーに求められると憂鬱な気分になる
- 断ってばかりいたら、パートナーが不機嫌になり関係性が悪くなった
- 治療したいけど、どんな治療があるのかわからない
- あまり潤滑剤が役に立っていない
性交痛は、我慢できるかもしれませんが、改善されると意外にも心が軽くなることがあります。自分に自信を持てたり、人生がもっと楽しく感じることができるかもしれません。年齢を重ねて健康問題が次々と出てくる中で失った自信や笑顔を取り戻せることを願って、関連記事をご紹介します。
腟の乾燥や萎縮が起きるメカニズム
受診前の予備知識で医師の説明がスッと頭に入る
病院に行く前に、なぜ腟や外陰部の乾燥や萎縮が起きるのか予め知識があると、医師からの説明や提案される治療も格段に理解しやすくなり、治療の選択も落ち着いて判断できる基盤をつくれます。閉経からの性器の乾燥について「女性ホルモンと性器の潤い」で解説しています。知っておいて損はなし、ぜひ読んでみてください。
上記と一部重複しますが、この時期に起こりやすい性交痛と婦人科疾患についてを「更年期・閉経以降に起きやすい性交痛」で紹介しています。挿入にこだわらない方法や体位の工夫など、具体的な対策についてもリンクを通じて紹介しています。
更年期から起きる性交痛や萎縮の症状や治療法
婦人科で相談しづらいときは、問診票に
検診などの受診のときに、性交痛について相談したくても、言い出す雰囲気が整わない場合のときもありますよね。ただ勇気を出して伝えたタイミングが内診の後だと、詳しい診察は今度になる可能性が。再度訪問を防ぐためにも、あゆみレディースクリニック高田馬場の佐藤歩美院長は事前に書く問診票の活用をおすすめしています。
性生活の再スタートの不安、外陰部の不快感も医師に相談
外陰部のこすれる感覚、かゆみ、血が混じるおりもの、通常のおりものでも色や臭い、量のなどが今までと違ってきてとまどう時期。さらに、長らく封印していた性生活を再開しようと考える際にも「痛かったり、出血したらどうしよう」、「事前に婦人科を受診すべきかな」、と不安が出てくることがあります。こうした疑問に対しても歩美先生が、こちらの記事:「萎縮性腟炎による性交痛や出血の原因、婦人科の治療と外陰部のかゆみ、痛みの対処法」 で回答しています。
乳がん既往の方でも可能な治療
更年期以降に起きる性交痛は、主に女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が低下し、腟が乾燥や萎縮することで起こります。この場合は、一般の婦人科で、ホルモン補充療法や、腟内に使用するホルモン剤による治療が可能です。ただ乳がんや婦人科系疾患の既往歴がある方はホルモン剤が使えないことが。ホルモン剤をできるだけ使いたくないと希望される方にも、そのような時に自費診療になりますが治療法があります。なおえビューティークリニックの喜田直江先生がこちらの記事:「更年期の腟萎縮による性交痛や出血、レーザー治療と最新の治療法」を解説しています。
パートナーと性について話合える秘訣
性交痛はパートナーとのオープンな話し合いが不可欠ですが、一生懸命に伝えているのに、理解してもらえず、現状が変わらないまま…という状況に対処するために、「私もOK、あなたもOK」となるコミュニケーションスキルを臨床心理士・公認心理師の西田めぐみさんがこちらの記事:「プロに教えてもらう、心理アプローチ Vol.2 アサーションというコミュニケーションスキル」で紹介しています。性生活を改善するだけでなく、関係をより強化するのにも役立つそうです。
久しぶりの性行為の痛みや出血の対策
「20年ぶりのセックスで激痛と出血」という50代女性からの寄せられた相談を、産婦人科医でセックス・セラピストでもある早乙女智子先生に回答してもらいました。セックスや出産を経験された方でも、長期間セックスから離れている場合の事前準備や対処法を「50代の性交痛、セカンドバージンの痛みと出血、のお悩みに産婦人科医が原因と対処法」解説しています。
摩擦を最小限に抑えてくれる潤滑剤選び
腟の萎縮が起きているときや、外陰部にひりつきがあるときは、潤滑剤選びも切実。せっかく使っても、変化を感じない程度の滑りではつらいままになってしまいます。ドラッグストアにはアダルト系のローションが同じ棚で売られていることが多いので、間違えて選んでしまうことも。「乾きが早い」、「肌に張り付く感じ」が強いことがあるので注意してください。潤滑剤の選ぶポイントはこちらの記事:「潤滑剤(ゼリー)の選び方、おすすめゼリー」で注意点などわかりやすく詳細に解説しているのでご参考にしてください。
まとめ
- 痛みは病気の場合もあるので婦人科の受診は必須
- 性交痛や外陰部の不快感は治療が可能
- 予備知識があると治療の選択がしやすい
- 言いづらいときは問診票を活用
- 話し合いが苦手なときはコミュニケーション手法の活用もあり
- セカンドバージンは準備があれば怖くない
- “滑る”潤滑剤に変えてみる
更年期障害の代表的な症状である性交痛は、多くの人が同じ問題に直面しています。正しい知識を身につけ、適切な治療や改善方法を専門家と相談し、必要であれば治療を受け、そうでない場合はケアや性生活の調整を通じて、この問題に取り組んでいくことが大切です。手間がかかるかもしれませんが、皆さんを応援しながら、これらの情報が解決の手助けとなることを願っています。ご質問や経験談は、投稿フォームか公式インスタグラムのDMから。
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