【泌尿器科医解説】性行為で陰茎が痛い〜男性の性交痛と性器まわりの痛み

ふあんふりーは、性交痛(セックスの時に感じる痛み)をテーマにしています。これまでの記事は女性側が感じる痛みを取り上げてきましたが、男性にだってセックスの時に感じる痛みはあります。この記事では、男性側がセックスの時に感じるヒリヒリするなどの痛みについて、泌尿器科医の内田洋介先生に聞きました。

記事の前半は「男性がセックスの時に感じる痛み」を、後半は「セックスの時以外に男性側が感じる性器周りの痛み」を、それぞれ取り上げます。後半の内容は性交痛についての話題ではないため厳密にはふあんふりーが扱うべき内容ではないかもしれませんが、性交痛とも深い関係がある内容もあることと、男性に向けた情報が極めて少ないことから、記事としてまとめました。

*対処法のあるものについては対処法も記載しています。

お話を伺った先生の紹介

泌尿器科医 内田洋介 先生
キラメキテラスヘルスケアホスピタル 泌尿器科科長
日本性科学会・理事

痛みや不調はパートナーとの関係にも影響する

痛みやその他の不調があると、相手のことを考えるよりも痛みから自分を守るほうに気持ちが向きやすくなり、相手を顧みないセックスになってしまう事例が少なくないようです。痛みやその他の不調がある時は、無理をせず治療に専念してほしいと思います。また、セックスの際に痛みや不調を感じないための工夫が必要な場合は、パートナーにも伝え、焦らずゆっくり進めてください。

次の記事は女性側のヒリヒリ痛い性交痛に関する記事ですが、男性が痛みを感じた時に読んでも、どうすればいいのかに関するヒントがありそうです。参考にしてください。

性器が痛い時はどこに相談する?

性器に痛みやかゆみなどの異常を感じた場合、最初に受診してほしいのは泌尿器科の病院です。泌尿器科で診察して、皮膚科への紹介を判断することもあります(外側の皮膚に明らかな炎症が見られる場合など)が、尿道や陰茎の内部に痛みの原因となる異常がある場合は、泌尿器科で治療することになります。そのような理由から、男性が性器に痛みやかゆみやその他の異常を感じたら、まずは泌尿器科を受診してください。泌尿器科はかかりづらいと感じる人も多いようですが、異常を感じてから早く受診して早く対応できたほうが、その分痛みやかゆみが引くのも早いです。また、時間が経つと重症化する何かが潜んでいた場合には大変ですので、かかりづらいから…と後回しにせずに受診をお願いします。

男性がセックスの時に感じる痛み

皮が引っ張られる痛み

男性の性交痛(セックスの時に感じる痛み)の中でも代表的なもののひとつと言ってもいいかもしれません。挿入時に陰茎の皮が引っ張られることで痛みを感じるというものです。性行為に慣れていない時に感じることがあるほか、慣れない体位の時や(次節の)潤滑が足りず摩擦が起こる場合などにも感じることがあります。また、一度このような経験をするとその痛みがトラウマになり、「また痛いんじゃないか」と心配するあまり、実際には感じていない痛みを感じることもあります。これを予期不安といいます。

対処法

  • コンドームをつける際に皮を下ろしきってから装着する
  • コンドームをつけない性交の場合も皮を下ろしきってから挿入する
  • 潤滑が足りない状態で挿入しない(これについては次節の「摩擦による痛み」を参照してください)

摩擦による痛み

挿入する際に潤滑が足りない、刺激に慣れていない、皮膚に損傷があるといった状態で挿入を試みると、挿入後の摩擦でヒリヒリするなどの痛みが出る場合があります。また、摩擦による痛みは挿入時はもちろん、マスターベーション時にも出ることがあります。

対処法

  • 潤滑が足りない場合は、相手の心身が準備できるまで挿入をしない(相手が女性の場合)か、潤滑剤を使用する
  • 刺激に慣れていない場合は、少しずつ経験値を増やして刺激に慣れていく(どうすると痛いのかが分かってくると、痛みを感じない方法が分かる)
  • 皮膚に損傷がある場合はセックスをしばらくお休みして、回復してから再開する
  • 粘度が高いローションではなく、潤滑剤(英語表記ではLubricants)に切り替えてみる

摩擦抵抗をバランスよく抑え、かつ高い潤滑力がある

アイディグライド

アイディグライド

陰茎折症(いんけいせっしょう)

勃起した状態の陰茎に外から力が加わり、読んで字のごとく「折れてしまう」ことを言います。勃起は、陰茎の中の海綿体に血液が流れ込むことで起こりますが、陰茎折症が起こると海綿体が内出血を起こし、陰茎が腫れ上がります。緊急で手術が必要ですので速やかに医療機関を受診してください。

射精痛

射精をしたときに痛みを感じることがあります。また、尿道の炎症、前立腺部の炎症、射精管閉塞などでも痛みが出ることがあります。射精した際に痛みを感じた場合は泌尿器科に相談してください。

セックスの時以外に男性側が感じる性器周りの痛み

性感染症

クラミジアや淋病、最近では梅毒といった名前を聞いたことはありませんか?セックスによって感染する病気を性感染症と言います。性感染症の中に、クラミジアや淋病、梅毒など、様々な種類のものがあります。種類ごとにどのような症状が出るのかは、陰茎にカミソリが動くような激痛が走ったり、尿道の出入口から膿が出てきたり、見覚えのないしこりができたりと、実に様々です。また、中には症状が出ないものもあるため、知らないうちに相手に移してしまう事例や、自分の身体を知らない間に蝕まれてしまう事例などもあります。

対処法

性感染症は、自分も相手も病気に感染していなければ移したり移されたりする心配はありません。ただし、自分や相手が感染しているかいないかは見ただけでは分からないです。
なので、
・定期的に検査に行く(男性の場合は泌尿器科で検査してもらえます)
・パートナーが変わったら検査に行く
・お互いに他の人とはセックスをしない関係性を保つ(お互いが他の人から病気を移されることがなければ、性感染症に感染する/させる心配はありません)
といったことを心がけるといいでしょう。

こちらもご参考に:厚労省の性感染症のページ

アレルギー

コンドームの素材(ラテックス)、潤滑剤の成分などによってアレルギー反応が起こることがあります。終わった後に皮膚がかぶれたり赤く腫れたりすることがあります。ラテックスアレルギーがある場合は、ポリウレタンやイソフレンラバーといった別素材のコンドームを使用するという選択肢があります。潤滑剤も成分表を見比べて異なる成分が入っているものに変えるといいでしょう。また、女性の分泌液にアレルギー反応が出る場合もあります。この場合は、コンドームを使用して分泌液と皮膚の接触を避けるという対応策があります。

包茎

陰茎が皮(「包皮/ほうひ」と言います)に覆われている状態のことを指します。普段は皮が被っているが剥こうと思えば剥けるのは、俗に仮性包茎と呼ばれる状態です。これは、必要な時に剥けるので医学的には何ら問題がありません。

剥こうと思っても剥けないのは真性包茎と呼ばれるものです。衛生上やその他の観点から、剥けたほうがよいため、泌尿器科で保険適用で手術することが可能です。

また、嵌頓(かんとん)包茎と呼ばれるものもあります。これは俗に「真性包茎と仮性包茎の間」と言われることがあるのですが、違います。まず「嵌頓」というのは「嵌(は)まり込んだ」という意味です。真性包茎と異なり包皮は一応剥けますが、剥けた皮が亀頭を締め付けてそのまま上にも下にも動かせなくなるものを指します。締め付けてしまうことで循環不全が起こり、ますます浮腫んで締め付けがひどくなる、の悪循環が起こります。若い男性に多く、二、三日してから受診にきがちです。戻さなくていけないことを知らずに放置してしまうことが多いです。ひどい場合は壊死まで行くこともあるので注意が必要です。

亀頭包皮炎

亀頭と包皮の組織が炎症を起こす病気です。仮性包茎の人や、真性包茎が剥けるようになってきた人は、亀頭と包皮の間に汚れや細菌を溜めやすく、それが繁殖することで起こります。また、洗いすぎ、自慰や性行為による過度な摩擦なども原因になります。主な症状は赤み、腫れ、痛み、かゆみ、分泌物の増加などです。治療には衛生的なケア、抗生物質、ステロイドクリーム、抗真菌薬などが用いられます。亀頭包皮炎を起こさないためには、自分で剥いてよく洗います。

勃起痛

夜の就寝中に勃起(夜間勃起)し、痛くて目が覚める事例があります。マスターベーションの時には痛くないように自分で調整できるものの、腟に挿入する際には結構突っ張って痛いという人がいます。こうした患者さんがいらした場合には、経過観察のみの場合もあれば、内服薬を処方する、注射、手術といった選択肢もあります。

ペロニー病

日本語では「形成性陰茎硬化症」といいます。フランス人のペロニー(ペイロニー、パイロニーとも発音される)という人が発見したことから「ペロニー病」という通称で呼ばれています。

陰茎は普段は柔らかいのに、性的に興奮すると硬く大きくなります。これは、陰茎海綿体が陰茎の中に通っていて、そこに血液が流れ込むからです。その陰茎海綿体の周りを白膜が包んでいます。

ペロニー病は、その白膜にしこりができます。勃起してないときは痛くなく、勃起すると硬いところが突っ張るので痛みが出るうえ、そのしこりのせいで陰茎が湾曲します。痛みだけを感じる人、痛みがあるうえに陰茎も曲がる人、痛みはなく陰茎が曲がるだけの人など、症状は様々です。陰茎が曲がっていると挿入する時にも痛みを感じます。進行性の病気で弯曲がひどくなると性行為に支障をきたすようになりますが、悪性のものではありません。

まとめ

この記事では、男性が感じる性交痛(セックスの時に感じる痛み)や、セックスの時以外に男性側が感じる性器周りの痛みについて紹介しました。

セックスの時に感じる痛みは

  • 挿入時に皮(包皮)を下ろし切ること
  • 潤滑剤を使用するなどして摩擦を減らすこと
  • 挿入時の角度をできる限り真っ直ぐにすること

などで低減あるいは解決できる場合が多いです。

セックスの時以外に感じる性器周りの痛みは

  • コンドームの素材を変えてみる
  • 潤滑剤を変えてみる

といった対応で痛みを減らせる場合があります。
そういった工夫をしても痛みや異変が起こった場合には

  • 泌尿器科への相談

をお願いします。

泌尿器科は受診しづらい科の1つだと思いますが、痛みを感じること自体が正常ではありません。痛みやその他の異常を感じたら、恥ずかしがらず、ひとりで悩まず、なるべく早く相談に行ってほしいと思います。

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ふあんふりー編集部FuanFree
WHOなどの国際機関が定める「性の健康」の概念に着目し、私たちの編集部は「痛みのない、喜びのある性生活のためにー」をモットーに掲げています。総医療監修の医師をはじめ各方面の専門家との協力を通じて、性交痛に関する信頼性の高い情報を提供しています。私たちは性の健康に対する理解を深め、読者が充実した性生活を享受できるよう、包括的で専門的なコンテンツをお届けしています。