国際セーフ・アボーション・デーって何の日?

9月28日は国際セーフ・アボーション・デーです。アボーションは「中絶」や「流産」のことで、セーフ・アボーション・デーは安全な中絶や流産を考える日です。

1990年に中南米の女性ネットワークが中絶の合法化をめざして活動したことから、2011年からこの日を「国際セーフ・アボーション・デー」として、世界各地で女性たちの活動が行われるようになりました。

ふあんふりーは、性交時の痛みに特化した情報を「性の健康」の考え方をベースに発信していますので、「中絶」をめぐる日本の状況を健康問題の視点からご紹介したいと思います。

セックスで痛みがある人と中絶の関係

性交時の痛みを抱えている方には、痛みのない性交ができるようになって妊娠したいと望んでいる方が多いかも知れません。しかし、妊娠は必ずしも希望している時にだけ訪れるものではありません。

ふあんふりーでも「ラテックスアレルギー」や「もう(セックスの)痛みをコンドームのせいにしない!」の記事でご紹介したとおり、性交時に痛みがある人は、相手に申し訳ないという後ろめたさのため、パートナーからの「コンドームが痛みの原因かも」という言葉によってコンドームなしのセックスを受け入れざるを得ない状況に立たされたり、「コンドームをつけて」という要望を伝えづらかったりします。その結果、希望しないタイミングで妊娠し、中絶に至る方も少なくないと察しています。

過去の中絶の経験により「また妊娠してしまうかもしれない」という恐怖や、中絶手術を受けた精神的なダメージから、セックスの時に身体が緊張で硬直してしまい痛みに繋がることがあります。気持ちが落ち込む、セックスを恐怖に感じることは中絶による心のケアが必要なサインかもしれません。そういう時は専門家に相談することを検討してみて下さい。
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日本にも必要なセーフ・アボーション

希望しないタイミングでの妊娠が起こりやむをえず中絶を必要とする場合にどのような手術ができるのか、妊娠するより前に熟知している人はそういませんよね。日本の医療は最先端とは言わなくても、そこそこの安全性が確保されているイメージがあります。それは中絶においてもそうなのでしょうか?

日本では中絶・流産の際に掻爬(そうは)法が行われることがあります。これは手術器具を使って子宮の中から妊娠組織を掻き出すというもので、世界でほとんど行われていない方法だそうです。

いま世界の主流な手法は、安全面も考慮されていて、薬剤か真空吸引法によるものです。薬剤は飲むだけでよく、心にも身体にも負担の少ない方法です。日本でも治験が始まっており、世界的水準の中絶方法に追いつこうという動きがあります。しかし、価格が高い、アクセスのハードルが高い、法改正が必要など、課題も多くあります。そういった背景から「国際セーフ・アボーション・デー2020 Japan」が今年多数の賛同人を集め、声を上げています。

未来に向けての課題

こうした現実を見たうえで、課題はどこにあって、どう変わっていけばいいのかについてまとめてみました。

確実な避妊ができること

コンドーム(避妊の成功率は82%程度)主流の避妊方法を改め、より確実に避妊ができる選択肢を増やすことがまずは必要です。現在日本で承認されている確実な避妊のためのツールは経口避妊薬(ピル)とIUD/IUS(子宮内避妊用具/システム)のみで、WHOが承認する注射、シール、インプラントタイプなどはまだ使うことができません。これらが日本でも使えるようになることで避妊の選択肢が増えます。

緊急避妊薬

性交後72時間以内に服用することで、高い確率で妊娠を防ぐことができます。医師の処方が必要なことから速やかに入手しづらい、価格が1~2万円で海外の無料~6,400円程度と比較すると高額といった課題があります。世界76か国では処方箋なしで薬剤師を通じて購入ができ、19か国ではOTC化(市販薬化)されています。日本でもOTC化の活動が行われています(2020年9月時点)

中絶について

海外ではコロナ禍下で外出できない女性のために、自宅で中絶薬を受け取り服用できるようになるなど変化も起きています。世界では消えつつある掻把(そうは)手術を必要な時だけに限定して、上で述べたいくつかの課題をクリアし、薬剤への移行の活動が行われています。
詳しくはhttps://2020-japan.webnode.jp

安全な避妊・中絶の実現はこれから

希望しないタイミングで妊娠して困ったという状況にならない限り、中絶という話題は遠い存在にあり、あまり興味がないかも知れません。でも知ってみると意外と問題があるんだということがわかります。より確実な避妊法が多くの選択肢から選べること、もしものときに速やかに緊急避妊薬が入手できること、中絶を選ぶ場合に安全な中絶手術を受けられることは、私たちの健康を守る大切なことなのです。いま挙がっている課題がクリアになってもきっと次の課題が生まれます。だから「国際セーフ・アボーション・デー」は、現実を知り、考える日として存在するのだと思います。

執筆:小林ひろみ
編集:柳田正芳 
監修:早乙女智子

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