- この記事はパートナーが性交時の痛みを抱えている男性に向けて書かれている。
- 女性の性交時の痛みには男性パートナーに由来するものもあり、男性側が知ることで、改善して痛みを和らげることができる。
- 男性パートナーのサポートが痛みの治療や改善に取り組むきっかけになる場合もある。
- もし男性自身が性交痛でお悩みの場合は「男性の性交痛」の記事をご覧ください。
「パートナーが性交時に痛みを訴え、最後までできない」
「原因が分からないからどうしてあげたらいいか分からない」
性交時の痛みを抱える当事者ではなく、その男性 パートナーからこんなお悩みの声を聞くことがあります。
女性が感じる性交時の痛みには男性が関係しているものがありますが、男性は気づかなかったり分からなかったりすることもあります。
一方、痛みを感じている女性の中には、痛いと言い出せない人や、勇気を出して伝えても理解してもらえない人もおり、その結果セックスが嫌いになってしまうこともあります。
原因が分からない痛みに対して、男性であるあなたができるかもしれないこと、知っておいてほしいことをお話していきたいと思います。行動に移すための具体的な情報や、主な痛みの原因などを分かりやすく挙げました。
そもそも、痛みの原因は?
考えられる代表的な原因は、次の4つです。
① 男性が関係するもの
② 身体的なもの
③ 心理的なもの
④ ②と③が混ざっているもの
① 男性が関係するもの
まず最初に、男性が関係する痛みの原因を紹介したいと思います。
サイズの問題
男性同士ではペニスのサイズが大きいほど自慢になることがありますが、女性の腟の長さは平常時には6~8cm(性的な興奮により子宮が持ち上がって腟の奥が開いた時にはもう少し長くなる)程度で、決して長くはありません。男性に話を聞いていると「腟の奥(子宮の出入口)まで突けば女性はみんな喜ぶ」という誤った知識を持っている人もいますが、事実は違います。自分の性器のサイズが長いと感じる場合は、浅い挿入を心がけてください。詳しくは、浅く挿入できる体位へ。
激しいタッチ
男女ともに、性器はとてもセンシティブな部位です。手荒く触る、擦るなど愛撫の仕方を誤ると、女性は口に出さなくても痛みや恐怖を感じるものです。そういった痛みや怖さの体験からセックスが嫌いになってしまうことや、嫌悪感から痛みが強化されることも。
タッチは触れているのかいないのか分からないくらいのソフトさが理想とも言われています。その一方でもちろん、触れられて気持ちいい場所にも触れられる際の心地よい力加減にも個人差があります。パートナーに聞きながら心地よい場所を心地よい強さで触れてあげることで、緊張が緩み安心することができます。詳しくはこちらの2つの記事、①「痛いのは力で押すから!?女性は激しいセックスで傷つく」、②「摩擦が原因?彼女がヒリヒリ痛む性交痛はどうすればいい!?」にて解説中。
挿入角度
人の性器は男女関係なく、個々それぞれ十人十色に違います。
挿入時に痛みが出る時には、相手の痛みが少ない角度を聞きながら、焦らずゆっくりと挿入を試してみてください。
挿入のタイミング
セックスの時の人間の興奮やそれに伴う身体の反応は、興奮期→高原期→オーガズム期→消退期という4段階に分かれています。挿入に適しているのは高原期。
セックスを開始して心身が高ぶり始めてすぐの段階(興奮期)ではまだ身体が挿入を受け入れる準備ができておらず、痛みを感じやすいものです。
性的な興奮を何度も繰り返すことでこころも身体も準備が整い高原期に移るので、挿入の前にパートナーの身体に触れる時間を長く取ってみてください。
それだけで痛みが和らぐことにつながるかもしれません。また、挿入前の時間を長く取ることでセックスそのものの満足度が増す女性も多いようです。
詳しくは、性反応から知るセックスの基本へ
言動に由来するもの
性器は極めてプライベートなエリアであり、日常では自分以外の人が見ることはありません。女性の中には普段から自分の性器を恥ずかしいと思っている人も多くいます。男性パートナーに性器に関して心ない指摘をされ、想像以上に傷つき、その指摘をしたパートナーや、セックス自体から距離を置いてしまう人もいるかもしれません。逆の立場になれば男性も同じ気持ちになるでしょう。心当たりがある場合は、話し合ってみてください。
②身体的なもの
性交中に痛いときは、病気が隠れていたり、身体の構造上の問題であったりと、様々な原因が考えられます。一度も婦人科で痛みについて受診・相談をしていない場合は必ず診てもらうように勧めてください。
- 考えられる様々な原因については検索しやすいこちらの総合検索ページ。
- 性交痛に詳しいドクターの記事一覧はこちらの「ドクター訪問記」。
また、産後になって痛みが出る事例もあります。詳しくは産後の記事で紹介しています。
③心理的なもの
「過去に性的に嫌な経験がある」、「性に関して厳格な環境で育った」など心理的な課題を抱えているとそれが痛みの原因になることもあります。
また、最初のセックスや出産が痛すぎたという痛みの記憶で、「今回も痛みが出るのではないか」と構えてしまうことも。
こうしたケースではカウンセリングを受けることが有効な場合もあります。しかしながら、カウンセリングを受ける必要性を本人が自覚していない事例も多いです。こちら「こころ」の記事を読み、「もしかしたら」と思ったら、心理的な治療を勧めるのもいいかもしれません。
心理的な治療を勧める時には、こちらも参考にしてみてください。
心理カウンセリングの受け方
④身体的な原因と心理的な原因が混在している
人によっては、いま紹介した身体的な原因と心理的な原因が混在していることもあります。
身体的な原因が見つかり治療をして完治してもまだ痛む場合がそれです。医師から「治療は終わって身体的に問題はない」と言われた場合は、心理的な原因があるかもしれません。上記③を参考にしてください。
心配だから、何かできないかと悩む
今このページを読んでいる男性のあなたは、パートナーが心配で何とかしてあげたい気持ちになったり、好きな相手に痛みを与えていると感じて落ち込んだりしたこともあったでしょう。上記以外に挙げられる外部的な要因として体質にあわないコンドームを使っていたり、あまり滑らない潤滑剤/ゼリーやアダルトローションを選んでいることも考えられます。工夫策としてコンドームの変更、これは「コンドームの選び方で性交痛は回避できる」で解説しています。それからしっかりと潤滑力のあるゼリーの選ぶポイントを「潤滑剤(ゼリー)の選び方」でまとめてあります。
性に関する悩みは、当事者は自ら解決の行動に出づらいもの。相手の話に耳を傾けて、あなたの応援があると一歩前へ進めるかもしれません。その温かな気持ちも支えになります。
痛みに負い目を感じ、素直に言い出せない女性も多いです。信頼感や安心感の先に、痛いと正直に言ってもらえる関係性があります。日頃の何気ないやり取りがふたりの関係性を築くことも壊すこともあるのです。セックスを充実させるには服を脱ぐ前のコミュニケーションが大事です。