性交痛を感じたらすぐに病院に行こう ~我慢の連続は痛みの条件反射回路を作る

こばやし

近くに評判のよいクリニックがない、女性の医師がいい、できるだけ自分の条件に合う病院にいきたい、当事者にとって病院探しは結構大変なこと。性交痛を診る医師やクリニックは、他とどう違うのかを比較するのではなく、診療にあたるその医師の姿勢や視点をお送りして皆さんなりに判断してもらえる材料になればと思い、シリーズ化してお伝えします。

ドクター訪問記Vol.6である今回は、東京・高田馬場にある「あゆみレディースクリニック高田馬場」の佐藤歩美先生にお話を伺います。

お話を伺った先生

あゆみレディースクリニック高田馬場 院長
佐藤歩美先生
(東京都新宿区)

女性の皆さんには、ぜひ産婦人科かかりつけを作っていただきたいと思っています。産婦人科の受診が敷居が高いと言われることを理解しています。私のクリニックは、来院しやすい場所に位置し、アットホームな雰囲気を大切にし、一人一人に寄り添った診療を心がけています。気軽に受診していただけるクリニックを目指しています。

【略歴】
横浜市立大学医学部 卒業
NTT東日本関東病院 勤務
総合母子保健センター 愛育病院 勤務
ベビースマイルレディースクリニック有明 副院長などを経て 現在に至る。

【資格・所属学会】

・日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
・日本周産期・新生児医学会 周産期(母体・胎児)専門医
・女性医学学会 女性ヘルスケア専門医
・日本性感染症学会 認定医
・日本抗加齢医学会 認定医
・日本医師会 認定産業医

写真提供:あゆみレディースクリニック高田馬場

FuanFreeでは性交時に痛みがあるときは、何よりもまずは婦人科受診をすすめていますが、近所に評判がいい、おすすめの婦人科がみつからない、女性医師(女医※)の婦人科がない、とお困りの声も耳にします。今回は東京に来る予定があるとき事前予約して「ついで受診」ができる「あゆみレディースクリニック高田馬場」の院長・佐藤歩美先生にお話を伺いしました。JR山手線の高田馬場(新宿から2駅)の駅前にあり、交通アクセスがとてもいいです。

※正しくは女性医師です。「女医」というワードで検索する方も多いので追記しています。

セックスで痛い時は病院受診、その理由は?

セックスの時の痛みは病気が隠れているサインの場合があります。セックスで痛みを感じた時は、病気などがないかを確認し、病気であれば適切な治療をする必要があります。
例えば、奥が痛い場合は子宮内膜症に罹っていることもあります。
痛みや出血があると性感染症の場合もあります。
年齢的に仕方がないと思っている方も、萎縮性腟炎や、内診やエコーで検査をして治療すべきことがあるかもしれません。
痛みには、腟が狭いなどの体質的なものから、子宮内膜症、性感染症、萎縮性腟炎など色々な原因が考えられます。クリニックでは、患者さんのお話を聞きながら必要な検査をしていきます。

奥の痛みの訴えが多い子宮内膜症治療で治る?

痛みの場所は奥だけとは限りませんが、子宮内膜症で性交時に痛みを感じることがあります。内診をしてエコーをみて診断することになります。その後相談していく形ですが、なかなか治らないですね。治らないですがすぐには手術をしないことも多いです。若い方であれば、まずはホルモン剤を使います。ホルモン剤にはエストロゲンと黄体ホルモンの2種類が入った【低用量ピル】や、黄体ホルモンだけの薬などいくつかあります。排卵を止めて、子宮内膜を薄くして、内膜症による炎症を抑えていきます。

子宮内膜症で性行為のときにすごく痛むということがあるのでしょうか?

ありますね。そういう場合は病院で治療ができます。ホルモン剤を使って「だいぶ痛みが軽減しました」という方も多いです。

ホルモン剤しか治療方法はないのでしょうか?

昔は手術をしていたのですが、妊娠前だと妊孕性が落ちるということがあるので、出産したあとで体調がやはり良くないということであれば手術する場合もあります。妊娠前だと手術をせず、内科的治療をまずやってみることが多いです。

もしかして子宮内膜症かもと思ったら、まずは病院ですね。

はい、1回病院にきてください。

こちらの記事もご参考に

子宮内膜症と性交痛」(佐藤歩美先生監修)

痛みや出血は性感染症の可能性もあるのですか?

性感染症は、性経験があれば誰しも罹患する可能性があります。今まで痛くなかったのに、「性交痛もあり出血もちょっと」という時には性感染症が隠れている可能性もあります。クラミジアや淋菌などが考えられます。決まったパートナーであっても、必要に応じてクリニックで検査します。

性交痛や日常的な不快感おきる萎縮性腟炎

更年期以降になると外陰部や腟の乾燥が起きやすいです。これが原因で性交痛や外陰部の不快感を感じる方がいます。それが萎縮性腟炎です。局所にホルモン治療するなど、いくつかの治療方法があります。「年齢的に仕方がない」と考えてしまいがちで、相談しづらいかもしれませんが、受診される方は沢山いらっしゃいます。悩んでいる方は決して少なくないので、安心してご相談ください。

問診票を活用して、性交痛の相談を

クリニックでは、ウェブ問診を極力使って書いてもらっています。その問診票に事前に口に出しづらい相談を書いてくれている方もいます。どのクリニックも問診票があり受付で書かされると思います、性交痛を相談したいけど、話せるか心配なときは、自由欄や欄外でもいいので、問診票に記入してみてください。

問診票には何にも書いていなくても、最後の最後に言う方も多いです。本当は気になっていたけど言えない方が多いことも理解しています。だから必ず「他に気になることはないですか?」と声をかけるようにしています。

ただ「内診の前に聞ければ診療の時にも考慮できたのにな」ということもあります。性のことも気にせず最初にお話ししていただければと思います。最後だと、内診もした後で、ご本人も「もういいか」ってなってしまうので。性交痛や性に関する情報も事前に伝えてもらえると診察がスムーズでよりよいものになります。

近所によい婦人科がないときの対策、地方や海外から通院例

例えば更年期の治療ですと、ホルモン補充療法などを行うこともあります。これで安定したねというまではお薬を変えたり微調整することもあるので、月1回くらいの頻度で来院が望ましいです。安定してきたら3ヶ月に1回くらいのペースの方がほとんどなので、地方の方も来院されています。普段海外に住んでいる日本人の方も来られますね。時々お買い物に東京に来られる方は、そのタイミングで診察の予約も取るといいかもしれません。

ちなみに、オンライン診療もやっています。ただ、婦人科はオンライン診療になじまないところがあって、1回まずは内診したいとは思っています。最初にオンラインで相談してそこからっていう方もいますが、できれば最初は対面で診察したいと思うことが多いです。

歩美先生の性交痛の考え方

痛みをあまり我慢すると脳にスイッチが入るというか、痛みの条件反射の回路ができるというんでしょうか。実際には痛くなくても、「痛いはずだ」「痛いに違いない」みたいになってしますので、早め早めに対処できるといいかなと思います。性交自体も、コミュニケーションの1つであり、ライフスタイルの中にある自然なものだと思うので、どの年代でも気にすることなく、痛いと思ったらケアしましょう。

性交痛で心配で…と診察に来たけれど、内診台に上がってもらって私がちょっと触れただけでお尻が飛び上がってしまう方もいます。触られると痛いというのが条件反射みたいになってしまうほどつらい思いをされてきたんだろうと思います。そうなる前に早め早めにケアはできた方がいいかなと思います。

取材と編集を終えて

こばやし

今回は、あゆみレディースクリニック高田馬場にお邪魔して、歩美先生にお話を伺いました。歩美先生は気さくで温かい性格の方でした。クリニックの雰囲気も彼女の人柄にマッチしており、薄い水色を基調とした清潔感あふれる空間でした。婦人科で使われるピンクを基調とした色使いは見られず、内診台がネイビーブルーだったのも個人的に感動しました。(写真を撮り忘れましたが、クリニックのホームページに掲載されています。)

先生からは、性交痛には体質だけでなく、子宮内膜症、性感染症、萎縮性腟炎など、さまざまな原因が隠れている可能性があると教えていただきました。それらの原因を確定するには、病院で内診、エコー、検査などを行う必要があるとのことで、その重要性を理解しました。また、痛みを我慢しすぎることで痛みの回路が強化される可能性もあるとのアドバイスを受け、自分の体に気を配ることの大切さを再認識しました。

歩美先生、お忙しいなか取材にお答えいただき本当にありがとうございました。あゆみレディスクリニック高田馬場の来院をご希望の方は、ホームページで予約方法をご確認ください。

監修:産婦人科医 佐藤歩美

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