FuanFreeを始めてから、取り組んでいる問題のひとつに、挿入障害※1があります。関連記事の人気からも、実は日本でも多くの方がこの悩みを抱えていることがわかります。挿入の困難から生じる痛みはもちろんのこと、誰かとお付き合いすることへの不安や、結婚しても性行為を断る苦しさ、そして受け入れた時の激痛のつらさなど、こころの負担は大きく、計り知れないと想像しています。
私たちは、この問題に向き合い、皆さんが安心して楽しい性生活を送れるよう、積極的に記事にして取り上げたいと考えています。またカップルの数だけ性生活のあり方があると考えています。セックスをしない選択も尊重したいと思います。みなさんの悩みを理解し、一緒に明るい未来を作っていけたらいいなと思っています。
目次
国際性機能学会のHPで紹介されていた治療法
国際性機能学会(ISSM)のQAコーナーにおいて、腟けいれん(ワギニスムス)※2という挿入障害の治療法について、以下の方法が紹介されています:
1)骨盤底筋リハビリテーション、2)マインドフルネスなどのリラックス法、3)腟ダイレーターの使用、4)セックス・セラピストによるカウンセリングです。さらに、難治例に対してはA型ボツリヌス毒素製剤の注射が検討されているようです。
原文は、英語ですがGoogle翻訳を使うと日本語で読むことができます。
原文:How Can Women With Vaginismus and Their Partners Thrive Sexually?
サイト内の挿入障害関連記事リスト
国際性機能学会(ISSM)の公式ウェブサイトに掲載されていた治療法について、FuanFreeのドクター訪問記で取材したドクターの話と重なる部分が見られました。こちらでは、それらの治療法に関連する記事をまとめてご紹介いたします。また、登場する村田先生、丹羽先生、大川先生は、セックス・セラピスト※4の資格を保持しています。
女性性機能外来で診察する村田佳菜子先生
登場する内容
- 筋肉を緩められない人に向けた骨盤底筋トレーニング
- セックスセラピストによるカウンセリング
- ボトックス注射
全国から性交痛の患者さんが来院する丹羽咲江先生
登場する内容
- 腟ダイレーターを用いた治療法
- 処女膜が伸びづらい方への治療法
ドクター訪問記Vol.3 番外編 「ダイレーターセルフトレーニング」
登場する内容
- ダイレーターのトレーニングについて
挿入障害、ワギニスムスの治療の第一人者 大川玲子先生
登場する内容
- 挿入障害の治療に専門的な医師による、腟けいれん(ワギニスムス)の診療
- 行動療法が用い、患者さん自身が積極的に取り組ませる成功法
- 自己理解やセックスに対する気持ちの見直しなども重要視したセラピー
「お悩み相談の回答」や「性の健康」について解説する、サイトの総医療監修の早乙女智子先生もセックス・セラピストの資格を保持する産婦人科医です。
事例紹介と投稿からの質問回答
挿入障害に関連する心理カウンセリングによる事例、挿入が困難だった投稿者からの経験談、そして投稿フォームからのご質問に対する回答をご紹介いたします。
カウンセリングからの事例
新婚から痛くて夫のEDを誘発、仲がいいご夫婦でお互いに遠慮しあっていた例
夫とのセックスを希望する回数などがあわず義務に感じ始めて痛み始めた例
経験者さんからの投稿事例
交際開始から3年間かけて痛みと恐怖を克服、念願の挿入・射精に到達
入り口を触れられるだけで、強い痛みと恐怖を感じていた読者さんからの体験シェア
「私はセックスがしたいのか」を自分に問い直して、本当の幸せにたどり着いた
性器を見たことがない、タンポンを入れられないのに性交はできると思っていた読者さんからの体験シェア
投稿からの質問の事例と回答
【お悩みに答えます!Vol.2】挿入されると痛くて最後までできない
公認心理師による心理的な理由による痛みに対するリラックス法や改善方法が紹介されています。
セックス・カウンセラー、セックス・セラピストとは?
ISSMでも言及されていた、セックス・セラピスト。日本では日本性科学会が厳しい資格審査基準を設け、認定資格を発行しています。同会のセックス・カウンセラー、セックス・セラピストの定義をご紹介します。
セックス・カウンセラー:クライアントの性に関する不安や悩みに対してカウンセリング技法や各種相談過程を通じて広く性相談に関わる専門家です。彼らは間接的に性機能障害に関わる場合もありますが、主な目的はその障害を解消することではありません。
※4セックス・セラピスト:より特化した専門的な職能を持ち、性機能障害の直接的な治療を行う専門家です。彼らは医師、臨床心理士、保健師、助産師、看護師など、医療職としての資格や同程度の技能を有している必要があります。
日本性科学会が認定するセックス・カウンセラーやセラピストは全国でわずか32名しかおらず、その中の13名がHPで掲載され閲覧できます。
編集部より
挿入障害の治療は国際的にも進展が期待される分野ですが、情報が限られており、ネット検索では病院のリストばかりで病気や治療そのものの情報を探していて困っている方もいるかもしれません。専門に診察されている医師に直接聞いた情報、事例などを中心に掲載しましたが、ご質問やリクエストがありましたら、投稿フォームか公式インスタグラムのDMからお知らせください。
またサイトに登場する各専門家の診察やカウンセリングを希望される場合は、サイト協力者一覧のページもご活用ください。
※1 挿入障害:様々な理由で挿入を伴なうセックスができないこと
※2 腟けいれん(ワギニスムス):腟のまわりにある筋肉が緊張などにより締まってしまう病態のこと(出典:2018年『セックス・セラピー入門』日本性科学会 編/金原出版 刊 P.59)